
駒師 江仙 プロフィール
東京・目黒の生まれ。神奈川県藤沢市在住。昭和63年から将棋の駒を作り始め、号の「江仙」は江の島の仙人を意味する。
伝統的な書体よりは自ら考案・創作したオリジナル書体の駒を作ることで一般の駒師と違う独自の道を歩んでいる。
将棋駒218組を制作(2024年12月現在)。最近は個展に向けアート作品に力を入れている。
●将棋駒研究会(駒研)会友●詰パラ会員●かえる友の会会員●藤沢三田会アート展会員
お問合せ先 kousen1@jcom.home.ne.jp
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自作のオリジナル書体(創作書体)の彫駒をメインに作っていますが、依頼を受ければどんな書体でも彫ります。
オリジナル書体は駒師江仙が考案した創作書体です。他の駒師、駒制作者に原則として版権の使用を許諾しておりません。制作ご希望の方はメールでお問合せ下さい。Yahoo!オークションに年何回か作品を出品しています。
将棋駒
江仙作 オリジナル創作書体駒

江仙作の創作した18書体の駒のうちでどの書体が人気があるかを分析したものです。
「桜舞」「銀砂」「萌」「淡斎」がトップクラス。
それに次ぐのが「礼里」「瑞星」です。
以下「孤陽」「美崩」「明楽」「珊月」「回青」「痩金」「夢幻」も安定しています。
あまり人気がないのが「紫龍」「流華」「粋宝花」。
まだわからないのが「太玄」「遊歩」です。
桜舞(さくらまい)
文字のどこかに桜の花びらがある一文字書体。「ピンクの桜舞」も人気があります。



銀砂(ぎんさ)
砂に書かれた文字が風に吹かれて崩れたかのようなイメージの個性的な書体です。



萌(もえ)
一字彫の可愛らしい書体です。「萌」(もえ)という言葉はとても流行しました。



淡斎(たんさい)
印鑑によく使われる古印体という書体から作ったもので、一番得意にしている書体。



礼里(れいり)
中国の孔子の廟のそばにある「礼器碑」という石碑を参考に隷書の書体を作りました。



瑞星(ずいせい)
おしゃれで細字の、ペン字に近い感じのとてもきれいな品のある書体です。



『孤陽』は孤独の太陽の意。どこか丸い感じの癒されるような書体です。
孤陽(こよう)



美崩(びほう)
行書と草書の中間のような文字を考えて筆ペンで作った書体です。



明楽(めいらく)
活字の明朝体のような独特の文字ですが、単調なようで意外と華やかな書体です。



珊月(さんげつ)
珊瑚のかけらと三日月を組み合わせたようなデザインの書体です。二枚とも王将です。



回青(かいせい)
まるで青春を謳歌しているような飛び跳ねているユニークな書体です。



痩金(そうきん)
中国・北宋の第八代皇帝・徽宗趙吉の千字文を元にアレンジして作った創作書体です。



夢幻(むげん)
「飛」という文字がカッコイイ。勇壮で力強くスケールの大きな感じの書体です。



紫龍(しりゅう)
正方形を意識した書体で、すっきりした書体です。紫色の漆を使います。



流華(りゅうか)
この書体は、縦線が右上から左下に流れるような形になっているのが特徴です。



粋宝花(すいほうか)
『漢字アート』という本を参考にして作り出した書体です。裏文字は赤色です。



太玄(たいげん)
文字の輪郭を筋彫りしてから中央の島の部分に漆を盛上。さわって楽しめる駒です。



遊歩(ゆうほ)
左にはねる部分を一部分丸く誇張した感じの最新18番目の創作書体。



欧陽(おうよう)
中国の書家「欧陽詢」の千字文をアレンジして作ったさっぱりした書体です。



印(いん)
スタンプ駒に使われる書体を修正し、太い部分を無くしてサラッと仕上げたもの。
(書体名未定)
絵のようなデザインの一字彫りの書体で、漆ではなくカラフルな塗料を使った駒。
オリジナル書体の作り方
1.書体とは?
そもそも書体とは一体何でしょうか?
一連の文字に、共通する特徴のある「文字の法則」が見られるものをいいます。
活字の明朝体を見ると、横棒の右端に三角形がついています。
横棒を細く、縦棒を太くというのも特徴です。
将棋の駒の書体については、こうでなければ認められないという条件はありませんが、何か文字に特徴を持たせることで、より個性的な書体を作ることができます。
2.書体を作るときの留意点
■駒全体のイメージ
王将、以下歩まで一つの統一したイメージで作ること。
楷書、行書、草書、隷書、篆書(てんしょ)などの書体がありますが、例えば駒の表は楷書で裏は行書というように統一するといいでしょう。
王将が楷書なのに飛車が草書だったりすると違和感があります。
全体のイメージ統一を心がけてください。
■判別しやすい書体
オリジナルの創作書体だとはいえ、実際に対局で使用できるよう文字は読みやすくなければいけません。
個性的な書体はいいのですが、あまりに崩しすぎて読めない、または読みづらい、他の駒と間違えてしまうといったことは絶対避けましょう。
■裏文字の区別
将棋の駒を多数見ると、駒の裏文字にはいくつかの決め事があるようです。
龍と馬の区別。一般的には龍は「昇り龍」、馬は「降り龍」と言われて龍の字の最後のハネが上に向いているか、下に向いているか区別しています。
これが原則で、例外もありますが一つのしきたりとして理解しておいたほうが良いと思います。
成銀、成桂、成香の区別も大事です。
いろいろな書体を見ると、成銀が行書に近く、成桂、成香の順にさらに字を崩してゆき、成香が一番草書的で、しかも細長い字にしている傾向が見られます。
この辺は既存の多くの書体を見て勉強してください。
3.書体の作り方
■今までにないものを作る
オリジナル書体を作る以上は、既存の書体と同じではいけません。
伝統的な四大書体はもちろん有名な書体はときどきチェックして、参考にはするが似ないように気をつけること。
多少変えたくらいではオリジナル書体とは言えません。
類似していない独創性が求められます。
■駒形の木地に合わせる
全体に言えることとしては、将棋の駒形に合った文字の形を考えること。
将棋の駒はすそ広がりになっているので、書体も真っ直ぐではなく八の字のような下が広がっている文字の形のほうがバランス的に安定しています。
駒形の中に文字をどういう大きさで入れるか、空間とのバランスも考えること。
作り方にはいくつかのパターンがあるので以下に述べます。
★筆ペンで書く
鉛筆やボールペンよりは筆ペンのほうが良い。
同じ文字をたくさん書いてみる。
スピードはゆっくりでないほうが良い。
考えながら書くと迷うので、サッサッといくつも書いてみる。
書いているうちこの部分を少し変化させたら違う変わった字になるという感覚が身についてくる。
そうなるとわざと書き順を無視して書いてみたり、省略して書いてみたりいろいろインスピレーションが湧いてくる。
一つの文字を300~500も書いていると、個性的な文字がいくつかできるはずです。
一つだけでも気に入った字ができたなら、その特徴を他の駒字にもあてはめたらどうなるだろうかと考えつつ全種類の駒へと広げて行く。
この方法で作った書体・・・『孤陽』『回青』『銀砂』『瑞星』『夢幻』『萌』『美崩』『流華』
★デザイン的な作成法
この方法は筆ペンで作るのではなく、紙の上で鉛筆でこういう形にしたらどうかと構図を描き、デザイン優先で作って行く方法です。
文字の中に特徴のある形を散りばめる。
文字に一定の法則を取り入れる。
珊瑚のかけらと三日月を組み合わせた書体が『珊月』で、曲線の部分が三日月の形になっている。
点の部分を桜の花びらにした書体が『桜舞』である。
『紫龍』は正方形を意識した文字型に字を当てはめ、そこに微妙な空間を入れることで特徴を出している。
『明楽』は明朝体を変化させて作っているので、活字のような書体である。
この方法で作った書体・・・『珊月』『桜舞』『紫龍』『明楽』『粋宝花』
★書道手本、字典などから作る
既に有名な書体がいくつもあり、『巻菱湖』『小野鵞堂』『王羲之』『村田海石』など多数ある。
書道手本から作る場合に一番作りやすいのは「千字文」である。
「千字文」は全部の駒字を網羅しているわけではない。ない文字もかなりある。
例えば「角」という文字がないので「用」という文字に「ク」を組合わせて作る。
成駒や「と」もないが、千字をくまなく見て判断しなんとか工夫して作るしかない。
『淡斎』は「古印体字典」から駒字を選び出し加工したものである。
この方法で作った書体・・・『淡斎』『痩金』『礼里』
★既存の書体を参考にして変化させる
スキャナでパソコンに取り込んで、photoshopなどの画像編集ソフトで加工する。
photoshopでは「自由変形」で拡大・縮小や回転ができるし、「変形」で「ゆがみ」「自由な形に」ができるので、元の字とは違った文字に変えてしまうことができる。
将棋駒制作・駒師に必携の本
