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​将棋駒

将棋駒は伝統的な四大書体である「水無瀬」「錦旗」「巻菱湖」「源兵衛清安」を制作する人が多いのですが、私の場合は自作のオリジナル書体(創作書体)の彫駒をメインに作っています。
目標は豊島字母帳に匹敵する、オリジナル書体の字母帳を作ることです。

駒作りは昭和63年から始め、200組以上を完成。

彫駒だけを手掛け、依頼を受ければどんな書体でも彫ります。

 

オリジナル書体は駒師江仙が考案した創作書体です。
他の駒師、駒制作者に原則として版権の使用を許諾しておりませんので、制作ご希望の方はメールでお問合せ下さい。

Yahoo!オークションに年何回か作品を出品しています。

 

『駒のささやき』制作メンバー。将棋駒研究会会員。

​江仙作 オリジナル創作書体
​孤陽(こよう)
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​最初に作った創作書体。『孤陽』は孤独の太陽の意。どこか丸い感じの癒されるような書体です。伝統的な書体を好む人にも違和感のない書体です。
回青(かいせい)
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​『回転禁止の青春さ』(美樹克彦)という歌がありますが、そこから『回青』という書体名にしました。まるで青春を謳歌しているような飛び跳ねているユニークな書体です。
​淡斎(たんさい)
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印鑑によく使われる古印体という書体がありますが、淡古印という活字の書体を駒字用に修正して作ったものです。字が途切れているような箇所があり、古めかしさも感じられる書体で、駒師江仙が一番得意にしている書体です。
​銀砂(ぎんさ)
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砂に書かれた文字が風に吹かれて崩れたかのようなイメージの書体です。「銀」という字に特徴があるので『銀砂』と命名しました。複雑な文字のため彫るのにとても手間がかかるうえに綺麗に彫ることが難しい駒です。販売数ではナンバーワンの書体です。
​珊月(さんげつ)
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珊瑚のかけらと三日月を組み合わせたようなデザインの書体です。
二枚とも王将で、玉将がないのは駒師江仙の創作書体の中でもこの『珊月』だけです。
​瑞星(ずいせい)
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​毛筆というよりはおしゃれで細字の、ペン字に近い感じのとてもきれいな品のある書体です。『瑞星』とは吉兆をもたらす星という意味です。
​桜舞(さくらまい)
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文字のどこかに桜の花びらが入っている一文字の書体です。元はソニーレコードから発売されたCD『桜舞』(歌/沢田綾)からヒントを得てそのまま書体名にしました。ピンクの漆を使った「ピンクの桜舞」という駒もあり珍しいので人気があります。
​夢幻(むげん)
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​「飛」という一文字が出来てから五年もかかってやっと出来上がったという書体。勇壮で力強くスケールの大きな感じの書体です。
紫龍(しりゅう)
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​正方形を意識した書体で、文字の中に微妙な空間があるすっきりした書体です。『紫龍』というくらいで、紫色の漆を使っているのが特徴です。
明楽(めいらく)
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お馴染みの活字の明朝体のような独特の文字ですが、単調なようでいて意外と華やかな感じもある書体です。一定の法則に基づいて作られている文字なので文字の統一性があります。
​萌(もえ)
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​一字彫の可愛らしい書体です。「萌」(もえ)という言葉は一時とても流行しました。この書体は「金」と「成銀」の区別がつきやすいように「金」は呂色漆(黒)「成銀」は弁柄漆(茶色)にして容易に判別できるようになっています。
​痩金(そうきん)
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中国・北宋の第八代皇帝・徽宗趙吉の千字文を元にアレンジして作った創作書体です。号を痩金と名乗り、中国では芸術面で有名な歴史上の人物です。細い字ですが鋼のように硬い独特の文字で。活字の「痩金体」の元になったほどです。
​美崩(びほう)
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​楷書の駒が多い中で、行書と草書の中間のような文字を考えて筆ペンで作った書体です。『美崩』は美しく崩しているの意。
​粋宝花
(すいほうか)
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​『漢字アート』という本を参考にして作り出した書体です。裏文字は意図的に「赤」にしました。色漆でこのきれいな赤い色を出すのは意外と難しく、黒っぽい赤になりがちです。
​礼里(れいり)
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中国の孔子の廟のそばに有名な「礼器碑」という石碑があります。石碑には駒に使われる文字が無かったので、字の特徴を駒字に当てはめて隷書のすっきりした書体を作りました。「礼器碑」と一番きれいな「里」という字を組み合わせ『礼里』という書体名に。
流華(りゅうか)
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​この書体は、元はある歌手の新曲の宣伝に書かれていた文字がとても個性的だったので、その「夢」という一文字の特徴を全駒に当てはめて『流華』という書体を作りました。縦線が右上から左下に流れるような形になっているのが特徴です。
​太玄(たいげん)
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最初に文字の輪郭を筋彫りして漆を入れ、次に文字の中央の島の部分に漆を盛り上げた駒です。そういう作りの駒の為、『太玄』は特に太い書体になっています。
漆のフワッとした感じを楽しめる駒です。さわって楽しめる駒というコンセプトで作りました。
​将棋駒制作・駒師に必携の本
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『駒のささやき』
-将棋駒の魅力とその世界-
1996年 駒研出版会発行
全222頁(駒師7人共著)
将棋駒を作る人のバイブルともいえる本です。現在絶版の為Yahoo!オークションに時々出品され高値で取引されています。
オリジナル書体の作り方

1.書体とは?

そもそも書体とは一体何でしょうか?
一連の文字に、共通する特徴のある「文字の法則」が見られるものをいいます。
活字の明朝体を見ると、横棒の右端に三角形がついています。
横棒を細く、縦棒を太くというのも特徴です。
将棋の駒の書体については、こうでなければ認められないという条件はありませんが、何か文字に特徴を持たせることで、より個性的な書体を作ることができます。

2.書体を作るときの留意点

■駒全体のイメージ
王将、以下歩まで一つの統一したイメージで作ること。
楷書、行書、草書、隷書、篆書(てんしょ)などの書体がありますが、例えば駒の表は楷書で裏は行書というように統一するといいでしょう。
王将が楷書なのに飛車が草書だったりすると違和感があります。
全体のイメージ統一を心がけてください。


■判別しやすい書体
オリジナルの創作書体だとはいえ、実際に対局で使用できるよう文字は読みやすくなければいけません。
個性的な書体はいいのですが、あまりに崩しすぎて読めない、または読みづらい、他の駒と間違えてしまうといったことは絶対避けましょう。


■裏文字の区別
将棋の駒を多数見ると、駒の裏文字にはいくつかの決め事があるようです。
龍と馬の区別。一般的には龍は「昇り龍」、馬は「降り龍」と言われて龍の字の最後のハネが上に向いているか、下に向いているか区別しています。
これが原則で、例外もありますが一つのしきたりとして理解しておいたほうが良いと思います。
成銀、成桂、成香の区別も大事です。
いろいろな書体を見ると、成銀が行書に近く、成桂、成香の順にさらに字を崩してゆき、成香が一番草書的で、しかも細長い字にしている傾向が見られます。
この辺は既存の多くの書体を見て勉強してください。

3.書体の作り方

■今までにないものを作る
オリジナル書体を作る以上は、既存の書体と同じではいけません。
伝統的な四大書体はもちろん有名な書体はときどきチェックして、参考にはするが似ないように気をつけること。
多少変えたくらいではオリジナル書体とは言えません。
類似していない独創性が求められます。


■駒形の木地に合わせる
全体に言えることとしては、将棋の駒形に合った文字の形を考えること。
将棋の駒はすそ広がりになっているので、書体も真っ直ぐではなく八の字のような下が広がっている文字の形のほうがバランス的に安定しています。
駒形の中に文字をどういう大きさで入れるか、空間とのバランスも考えること。


作り方にはいくつかのパターンがあるので以下に述べます。

★筆ペンで書く

鉛筆やボールペンよりは筆ペンのほうが良い。
同じ文字をたくさん書いてみる。
スピードはゆっくりでないほうが良い。
考えながら書くと迷うので、サッサッといくつも書いてみる。
書いているうちこの部分を少し変化させたら違う変わった字になるという感覚が身についてくる。
そうなるとわざと書き順を無視して書いてみたり、省略して書いてみたりいろいろインスピレーションが湧いてくる。
一つの文字を300~500も書いていると、個性的な文字がいくつかできるはずです。
一つだけでも気に入った字ができたなら、その特徴を他の駒字にもあてはめたらどうなるだろうかと考えつつ全種類の駒へと広げて行く。
この方法で作った書体・・・『孤陽』『回青』『銀砂』『瑞星』『夢幻』『萌』『美崩』『流華』

★デザイン的な作成法
この方法は筆ペンで作るのではなく、紙の上で鉛筆でこういう形にしたらどうかと構図を描き、デザイン優先で作って行く方法です。
文字の中に特徴のある形を散りばめる。
文字に一定の法則を取り入れる。
珊瑚のかけらと三日月を組み合わせた書体が『珊月』で、曲線の部分が三日月の形になっている。
点の部分を桜の花びらにした書体が『桜舞』である。
『紫龍』は正方形を意識した文字型に字を当てはめ、そこに微妙な空間を入れることで特徴を出している。
『明楽』は明朝体を変化させて作っているので、活字のような書体である。
この方法で作った書体・・・『珊月』『桜舞』『紫龍』『明楽』『粋宝花』

★書道手本、字典などから作る
既に有名な書体がいくつもあり、『巻菱湖』『小野鵞堂』『王羲之』『村田海石』など多数ある。
書道手本から作る場合に一番作りやすいのは「千字文」である。
「千字文」は全部の駒字を網羅しているわけではない。ない文字もかなりある。
例えば「角」という文字がないので「用」という文字に「ク」を組合わせて作る。
成駒や「と」もないが、千字をくまなく見て判断しなんとか工夫して作るしかない。
『淡斎』は「古印体字典」から駒字を選び出し加工したものである。
この方法で作った書体・・・『淡斎』『痩金』『礼里』

★既存の書体を参考にして変化させる
スキャナでパソコンに取り込んで、photoshopなどの画像編集ソフトで加工する。
photoshopでは「自由変形」で拡大・縮小や回転ができるし、「変形」で「ゆがみ」「自由な形に」ができるので、元の字とは違った文字に変えてしまうことができる。

詰将棋 作品
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詰将棋パラダイス
昭和43年5月号初入選
19手詰
入選2回.jpg
詰将棋パラダイス
昭和43年6月号入選
7手詰
入選3回.jpg
詰将棋パラダイス
昭和56年9月号入選
9手詰
徳島新聞1.jpg
徳島新聞
昭和43年11月11日掲載
15手詰
徳島新聞2.jpg
徳島新聞
昭和58年7月5日掲載
7手詰
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