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MEMORY
懐古趣味と言われようと、想い出に残るものをいくつか掲載します。
コニー・フランシス
私が初めて音楽に興味を持ったのは小学校5年の頃。父に連れられて行った秋葉原で自分のお小遣いで東芝のトランジスターラジオを買って毎日夜音楽を聞いていた。当時はAM放送のみで、邦楽(歌謡曲)と洋楽(オールディーズ)の両方を聞いていた。
ある日コニー・フランシスの『可愛いベイビー』(日本語版)を聞いてすっかりオールディーズのファンになった。
昭和37年の洋楽ヒット・ソング・ランキングを見るとコニー・フランシスの曲では
第7位 「可愛いベイビー」
第14位 「夢のデイト」
第21位 「大人になりたい」
この3曲がランクインしている。
昭和39年の中頃には歌謡曲に転向しているので、洋楽からは遠ざかってしまったが、その後歌謡曲コレクターになりレコード業界で働いた私にとっては、音楽の世界に導いてくれたコニー・フランシスにとても感謝している。
レコードからCDに変わり、コニー・フランシスのCDを輸入盤でもいろいろ探して集めてみたが、本場アメリカでのベスト盤には「可愛いベイビー」「夢のデイト」「大人になりたい」といった日本でのヒット曲はまず収録されていない。なぜかというとそれらの曲はアメリカではB面曲だったからで、そのためベスト盤には絶対入っていない。
日本ではA面、B面の両方を聞いた放送局や音楽関係者がどちらの曲を重点的にプッシュするか決める。日本人に合っているのが実はどれもB面曲のほうだったわけで、B面曲ばかりが放送されて予想通り大ヒットしたということになる。
コニー・フランシスは日本語で歌った曲がたくさんあり、英語と日本語どちらもいい。ドイツ語バージョンのCDも私は持っている。


日本で発売のCDなら日本でのヒット曲も入っている
全曲日本語で歌っているCD
風来坊先生
昭和39年8月から翌年2月までテレビで放送された青春学園ドラマ『風来坊先生』。山田吾一が白戸勉吉という先生役で、夏目漱石の『坊っちゃん』を思わせるような山陰の田舎の城下町の高校に着任するドラマだ。
その主題歌についてはネットでいくら検索してもわからなかったが、ある日蒲田の『えとせとらレコード』という中古レコード店で見つけることができた。『青春の夢のせて』(手塚しげお)がそのレコードで、私が制作した『オールスター青春歌謡』(平成12年発売)という通信販売の12枚組のCD全集の中に収録し、それが唯一のCD化となっている。さらに私のHPに『風来坊先生』の主題歌だということを発表したので、それを見た人によりこの情報が世間に知れ渡った。歌はYoutubeで聞くことができる。ドドンパ調の名曲!
このドラマで好きだったのが高校生役の高梨木聖さん。
私が初めて好きになった女優ということで印象に残っている。
可愛かったね。
『風来坊先生』の原作は『風来先生』(白川渥 著)
という小説で、テレビの『風来坊先生』を見た
50年後の2014年に春陽文庫の『風来先生』を
amazonの中古本で購入し読むことが出来て
当時を思い出し感無量だった。
さらに2017年にその続編となる『風来日記』
(白川渥 著)もamazonの中古本で読むことが
出来た。最後、白戸先生と相思相愛の新庄雪絵
(元女生徒)が結ばれるハッピーエンドには
こちらまでうれしい気持ちになった。



高梨木聖
(『週間TVガイド』より)

悪の紋章
橋本忍のサスペンス小説。昭和39年に山崎努の主役で映画化され、昭和40年10月から翌年3月までNETテレビで天知茂の主演で放送された。私が知ったのはテレビ版で、テレビを見ながら同時に朝日新聞社から発行された『悪の紋章』の単行本を買って、テレビと本でどう違うのか比較しながら楽しんでいた。
汚名を着せられ投獄された警部補・菊地正明が出所後に稲村清一と名前を変え、自分を罠に嵌めた黒幕を探し出し復讐する物語。そこに女性との悲恋が重なる。
主役・稲村清一を演じた天知茂は私が好きな男優の一人だったのでとても
鮮明に記憶に残っている。
主題歌「あきらめ節」を歌った水原弘、新人女優の「愛京子」懐かしいね。
映画の『悪の紋章』は数年前ケーブルテレビで放送されたので見ることが
できた。テレビ版のほうをもう一度見たいが無理なようだ。
天知茂さんは酒場で一人グラスを傾けるポーズがカッコイイが、実際は一滴も
お酒を飲めない人だったそうで、結婚してから死ぬまで一度も家族に怒った
顔を見せたことがない神様のような人だったという奥様の証言には驚いた。

ベルフェゴールは誰だ!
昭和39年にフランスが制作し昭和40年にNETで放送されたサスペンスドラマ。30分番組で、いかにも異国情緒の感じのオープニングテーマ曲が印象に残る。ルーブル美術館内に出没し毎夜歩き回る仮面の怪人「ベルフェゴール」の正体を追う青年アンドレと謎の女ローランスをめぐる不思議な事件を描いたサスペンスミステリー。謎の女・ローランスはシャンソン歌手のジュリエット・グレコが扮した。
ルーブルに現れる幽霊(ベルフェゴール)は秘密結社「薔薇十字団」の首領・ボリスの魂が心霊術によって乗り移ったある人間であることがわかっている。その目的はベルフェゴール像の内部に隠されたパラセルスの金をわが手に収めることだった。
最終回を録音したテープが音は悪いがそのまま残っている。
ボリスがローランスにベルフェゴールの正体を告げる場面と、
それを知ったローランスがアンドレの制止もむなしく
投身自殺する場面だけをここに詰めて編集しました。
ベルフェゴールは誰だ!最終回ラスト
00:00 / 02:59
ベルフェゴールとはキリスト教における七つの大罪に比肩する悪魔の一人で「怠惰」「好色」を司る悪魔とされている。フランスでは「ルーブル美術館を夜中に歩き回る怪物」という都市伝説のキャラクターとして人気があるらしい。
このドラマのテーマ曲は日本では探しても見つからず、輸入盤で入手できた。
フランスでは番組のDVDを販売していたらしいが現在入手は難しいようだ。
青江三奈
歌手『青江三奈』といえば昭和41年に『恍惚のブルース』でデビューし大ヒット『伊勢佐木町ブルース』やミリオンセラーの『池袋の夜』など数々のヒット曲を歌ったハスキーボイスが有名だが、その芸名の由来について知っている人は多くないだろう。
『週刊新潮』に川内康範の『恍惚』という長編小説が連載され、そこに登場する複数の主人公の一人が「青江三奈」と言う名の女性歌手である。つまり『青江三奈』は小説に出て来る新人歌手の女性の名前をそのまま芸名にしたという珍しいパターンなのである。
私は2018年になってやっと
この『恍惚』を講談社の
RomanBooks版で購入。
読んでみた。
小説では青江三奈のデビュー曲は
『ブルーブルース』でB面は
『東京のため息』。
これは実際の青江三奈の2曲目の
シングル盤AB面と同じ曲名だ。
発売はビクターではなくて
ドッグレコードから発売される。
実際のデビュー曲である
『恍惚のブルース』については248ページに 三奈はさいごに沢井純三がはじめに作ってくれた「恍惚のブルース」を唄った という記述がある。
青江三奈のデビューから初期の作品の多くの作詞を川内康範が手掛けており、彼は青江三奈の芸能界の育ての親、名づけ親でもある。


FM東京ステレオ歌謡バラエティ
『FM東京ステレオ歌謡バラエティ』は1970年からFM東京で14:00から放送された。
パーソナリティがいろいろな話をしながら曲を紹介し進行する約2時間の歌番組。歌謡曲の番組なので毎日録音し聞いていた。DJは当初「青木小夜子」さんが月曜日から金曜日まで大車輪の活躍で、翌年から曜日によって担当が変わったようだ。(正確な記憶がない)
AMラジオと違う音のきれいなFM放送が本格的に始まったのが1969年(昭和44年)。それまではAMだとモノラルで曲紹介のDJの声が曲の頭にかぶさってしまっていたが、FMだとDJの声の邪魔がなく丸ごと1曲全部ステレオで音楽が聴けるということで歌謡曲を収集している私にとっては最高の環境になったわけである。その頃からステレオ録音ができるようになったためテープレコーダーでなくオープンリールデッキに録音するようになった。
懐かしい青木小夜子さんの声。
この音源は1971年1月に録音したものと思われる。
実に可愛らしい声で、飾らない明るいキャラクター!
人気があったのも当然だと思う。
あれから55年が過ぎた。古き良き時代に感謝したい。
DJ青木小夜子
00:00 / 04:11
名犬ロンドン物語
昭和38年10月よりNTVで放送されたカナダ制作のテレビ番組。孤独と自由と正義を愛する放浪犬「ロンドン」が弱い人を助け活躍する冒険物語。
「ロンドン」はジャーマン・シェパードで、頭が良く事件が解決するとその場を離れてまたさすらいの旅を続ける。
とても地味な外国ドラマなのだが覚えている人が意外と多く、特にその主題歌が印象に残るので放送後30数年経った頃に誰が歌っていたのだろうと一時話題になった。
「克美しげる」ではないかと言う声もあったが、いくらレコードを探しても発売されていないようでわからない。歌の最後に「さすらい」と歌うので、曲名も「さすらい」ではないかという人もいたが不明のままだった。
ある日、よく行く神保町の中古レコード店の店長と話しているうち「名犬ロンドン」主題歌の話になり、その音を持っているからコピーしてあげましょうと言われ、CDRで音を受け取った。
聞いてみると私が覚えていた歌とほとんど同じだった。懐かしい。
歌っていたのは「田辺靖雄」。レコードでの発売はしておらず、ソノシートだった。
ビクターミュージックブック
「二人の星をさがそうよ」
というタイトルのソノシート
6曲入りの最後の曲が
『名犬ロンドンの歌』に
なっている。
歌の次にカラオケもついて
いる。
愛称「ヤッチン」について
書かれているプロフィール
を見ると、堀越高校3年
在学中となっている。
そんな若い時に歌っていた
とは驚き。
後に渡辺プロダクションの
方に確認してもらったら
「田辺本人によると、
よく覚えていないが、歌った
覚えがある」とのことです
という返事をもらった。
昔はレコードの値段が高かったから、よくソノシートを買ってポータブル電蓄で聞いたものだ。
「名犬ロンドン物語」がソノシートとは意外だった。
ソノシートといえば「朝日ソノラマ」「ケイブンシャ」・・・懐古趣味は果てしなく続く・・・


長谷川 伸
「長谷川伸」と言えば大衆文芸の小説家、劇作家で股旅ものの作者として有名だが、おそらく私くらいの年齢以上の人でないと皆さん知らないかもしれない。
『瞼の母』『一本刀土俵入り』『沓掛時次郎』『雪の渡り鳥』『中山七里』『関の弥太っぺ』が特に知られ、映画やそれをテーマした歌謡曲もたくさん作られている。
実は私の祖父が建てた先祖代々のお墓の隣のお墓が「長谷川家の墓」で長谷川伸さんのお墓なのである。そのため昔は色々な人が来てきれいなお花が供えられていることが多かった。
お隣さんということで何となく昔から親近感があったのは確かである。
上記の作品はすべて映画になっていてケーブルテレビで時々放送されている。
『瞼の母』(番場の忠太郎)・・・橋幸夫、市川雷蔵などが主演
『一本刀土俵入り』・・・長谷川一夫、鶴田浩二など
『沓掛時次郎』・・・市川雷蔵、大川橋蔵など
『雪の渡り鳥』(鯉名の銀平)・・・大川橋蔵、杉良太郎など
『中山七里』・・・竹脇無我、市川雷蔵など
『関の弥太っぺ』・・・萬屋錦之介など
その他色々な俳優が演じている。
歌謡曲のほうでよく知られているのは次の通り
『瞼の母』・・・中村美律子
『一本刀土俵入り』・・・三橋美智也、三波春夫(セリフ入り)
『沓掛時次郎』・・・橋幸夫
『雪の渡り鳥』・・・三波春夫
『中山七里』・・・橋幸夫
『関の弥太っぺ』・・・橋幸夫
時代劇はもう時代遅れかもしれない。しかし、人情の機微にふれるような長谷川伸の股旅もの作品は日本人の心にとって大切なものだと思う。

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